私は、テクノロジーを活用し、人間と自然の最適な関係を築くことで、人間の持続的な幸福を追求しています。根底にあるのは、ドローンやロボットといった最先端技術と、土や森の匂いや川のせせらぎ、鳥の鳴き声等、五感で感じる人間らしい感覚、その両方を尊重し融合させていく考えです。
私たちの最初のステップは、自然の状態を科学の目で「可視化」することです。人工衛星・ドローンや3Dスキャナを駆使し、山林から都市の緑までデジタル空間に再現。単なる3次元モデルに留まらず、過去から未来を捉える「4次元」解析モデルも構築しています。
例えば都市のヒートアイランド対策では、樹木一本の日陰の効果や、公園の緑地が生む風の通り道が周囲の気温をどれだけ下げるかを、熱環境シミュレーションで精密に予測。科学的根拠に基づいた街づくりを可能にします。また、里山の計画では、間伐実行後の未来像をAIを活用し自動生成。これまで説明が困難だった現状と未来の森林や景観の変化を示せることで、自然資本の保全・再生への理解と資金循環を促すきっかけにもなっています。
しかし今、私たちは地方の過疎化と高齢化という大きな社会課題に直面しています。優れた計画も、自然を維持管理する「担い手」がいなければ実現しません。この課題解決には、まさに「ネイチャープレナージャパン」における「ネイチャープレナー」の皆様の力が不可欠です。多様な担い手が交流し、共助するエコシステムこそが、未来への希望になると信じています。
その上で、「担い手」では手が届かない場所や、人命に関わる危険な作業から人間を解放することもミドリクの使命です。私がこれまで10年ほど培ってきたドローンやロボットの自動制御・AI技術を活用し、急斜面での樹木調査、急流な河川での生態系調査、水中の藻場調査といった過酷な作業を無人化し、データが自動で集約される仕組みを構築しています。
これは決して「技術崇拝」ではありません。私たちが目指すのは、技術と人間の最適な「役割分担」です。危険で単調な作業はロボットに任せる。それによって生まれた時間と心の余裕を、人間は、土に触れる喜びや森の香りに癒やされる感覚といった、五感で自然と深く繋がる活動に使うべきだと考えます。
私たちは、人の繋がりを尊重しながら、テクノロジーで人間を人間らしく幸福にする社会インフラを構築します。ロボットやドローンと人間が役割分担する仕組みを実現し、将来的には人々のウェルビーイングが最大化される空間を創造していく。これらを、日本にとどまらず、創業1年目から東南アジア・欧州・南米等グローバルで挑戦をしています。テクノロジーで人々が本来の感覚を取り戻し、自然との深いつながりに幸福を見出していける社会を創造していきたいと考えています。