水源地域の森林と利水地域の水環境(河川・用水・海)双方の持続可能性を高める地域循環共生の形成

尾﨑 康隆
一般財団法人もりとみず基金 事務局長

  • 25年度フェロー助成
  • 河川
  • 香川県
  • 高知県
  • 活動概要

    「森と水は、ひとつに」

    一般財団法人もりとみず基金は、高知県嶺北地域(大豊町、本山町、土佐町、大川村)と、香川県高松市の共同出資により設立されました。“四国の水がめ”早明浦ダムを介し、「①森と水をつなぐ:水循環解析(シミュレーションモデル)を用いた森林多面的機能発揮の可視化、多面的機能の発揮に向けた林業施業の促進」「②森と暮らしをつなぐ:林業や森林関連産業の担い手・流域人材の育成」「③都市と地域をつなぐ:民間企業連携、シチズンサイエンスの促進、クレジット活用支援」「④人と資金の循環:ソーシャルインパクトボンド等のファイナンススキームの構築、関係人口形成」の4つの取組を展開しています。

    もりとみず基金が目指すのは「“森の当事者”を増やす」こと。気候変動に伴い、森林や自然環境に対するよりシビアな対応が求められる一方で、都市化(と中山間地域の過疎化)に伴い、国土の4割(里地里山)〜7割(2次林を含む)を含む2次的自然の荒廃が進んでいます。従来の“森の当時者(山主(森林所有者)、林業者等)”による営みや生業を通じた循環が成り立ちにくくなっている中で、より広い範囲で“森の当事者”となり得る人たちを増やしていくこと。サイエンス・データ・ナラティブを組み合わせながら、都市と山村の関係性を編み直していくことが、もりとみず基金の役割です。

     

    活動フィールドの特徴

    高知県嶺北地域
    早明浦ダムの上流に位置する水源地。徳島県に流れる吉野川を通じ大阪城築城にも木材を供給した林業地域でもあります。地域面積75,000haの約9割を森林が占めており、その多くが人工林・小規模民有林(個人所有林)であることから、過疎化に伴う森林環境の荒廃への対応が求められています。

    香川県高松市
    四国最大の都市のひとつ。大手企業の支店が集積する「支店経済」のエリアである一方、瀬戸内国際芸術祭に代表されるように、島嶼部の振興や海環境の保全に向けた市民意識は高いです。高松市を含む瀬戸内エリアは渇水に苦しんできた歴史を有しており、現在も、高松市が利用する水の6割は早明浦ダム水源。市民の多くが毎日のように早明浦ダムの貯水率を確認する、国内でも有数の「水への意識が強い」地域です。

     

    フェローへのメッセージ

    もりとみず基金は県域をまたいで「四国」全体の水源地域と利水地域を繋ぐ広域での循環形成を目指しています。広大なフィールドを対象とし様々なステークホルダーを巻き込んでいく難しさの一方で、目指す姿が実現した際のインパクトや他の地域への展開可能性も大きくなることが期待されます。こうした“難しい”フィールドに取り組むことの「おもしろさ」を楽しんでくださる方に、フェローとして参画いただけたらと考えています。

    活動拠点や施設について(随時更新)

    活動フィールド
    高知県嶺北地域(主として土佐町)、必要に応じて高松市

    滞在拠点「あこ(https://share.google/Mf6l0UuVcEgPmrmul)」
    もりとみず基金に加えて、NPOれいほく田舎暮らしネットワーク(移住支援団体)や土佐町やまとしごと協同組合(特定地域づくり事業協同組合)など、複数の団体等が利用するシェアオフィス環境です。夕方〜夜間には英語教室・ダンス教室が開催されるなど、地域住民の利用も増えてきています。

    周辺の生活環境
    滞在拠点周辺は、スーパー、ドラッグストア、病院、コンビニエンスストア、高知市に向かうバス停留所などの生活インフラが集まっており、徒歩や自転車だけで生活することも可能です。周辺エリアへの移動には車が必須となるので、運転免許を所有している方が活動はしやすいと思います。

    活動時期

    多少雪が降る地域なので、運転等不安な人は夏場を推奨します。
    4月〜5月は法人決算等の事務が増加するため、十分な活動サポートができにくいかもしれません。

    事前登録・エントリー

    2025年次世代ネイチャープレナー・フェローシップ制度募集ページはこちら
    本制度にご興味のある方は事前登録をお願いいたします。ご登録いただいた方にのみ、本エントリーのご案内をお送りします。本エントリーには事前登録が必須となります。
    この時点で本エントリーすることを決めていなくても構いません。まずはお気軽にご登録ください。

    事前説明会へのご参加もこちらからお願いいたします。

    申し込みはこちら

    ネイチャープレナー

    尾﨑 康隆

    一般財団法人もりとみず基金 事務局長

    一般財団法人もりとみず基金 事務局長

    高知県高知市出身。都内民間企業勤務を経て高知県庁に入庁。主に地域振興、企画、起業促進等を担当。より手触りのあるフィールドを求め、2019年に土佐町役場に転職。企画部及びSDGs推進を担当し、2021年から2024年までSDGS推進室長。SDGs推進業務の一環として、水源地としての立地や森林と水の関係に着目し、都市と山村の共生を目指す。2024年、香川県高松市及び高知県嶺北地域による「一般財団法人もりとみず基金」の設立に伴い事務局長に就任。