私たちは岡山県西粟倉村で「ビオ田んぼプロジェクト」に取り組んでいます。「ビオ田んぼ」では、田んぼの一部を掘って水をためるビオトープ(水辺の生き物が暮らせる池や水路)を作り、生き物も安定して生息できる米作りを行っています。
通常の稲作では、水の管理が原因でメダカなどの生物が住みにくくなりますが、ビオトープを作ることで水が溜まる場所が確保され、生き物の生息環境を守れるようになります。
私自身、大学時代の経験から田んぼの生き物の豊かさを知っていたので、米作りだけでなく、生き物を増やしたり、子どもたちが生き物と触れ合える環境を作ることで、田んぼの新たな価値を創造したいという思いで始めました。
2023年から始めたこの取り組みによって、メダカやドジョウが大幅に増え、絶滅危惧種のタガメも田んぼで繁殖をするようになりました。環境さえ整えれば、生き物はしっかり増えることを実感しています。
とはいえ、私たちは無農薬の田んぼで生き物を増やすことだけを目的にしているわけではありません。目指しているのは、生き物が豊かに生息できる米作りの手法を地域全体に広げることです。
米作りが赤字になりやすいという話もある中、昔ながらのやり方には限界があると感じています。私たちはお米に生物多様性保全の価値を付けて販売するモデルをつくり、共感してくれる農家さんとともに、この取り組みを広げていきたいと考えています。
<Driveメディアで紹介されました>
生物多様性と人の生活を両立させていきたい。西粟倉村で「ビオ田んぼプロジェクト」に取り組む太刀川晴之さん