ケニアの地域住民と野生のゾウの軋轢を解決する養蜂箱フェンス事業

赤石旺之
株式会社Wildlife Ventures 代表取締役

  • 野生動物
  • ケニア
  • 生物多様性
  • アフリカ・ケニアのサバンナを舞台に、地域住民と野生のゾウの軋轢を解決する「養蜂箱フェンス」という仕組みを事業展開しています。

    ゾウがハチを本能的に嫌う習性を活かし、集落や畑のまわりに養蜂箱を連結して設置。ゾウの侵入を防ぐフェンスとして機能させることで、農作物を守りつつ、ゾウを傷つけることなく人との距離を確保します。

    また、フェンスで得られたハチミツは日本へ輸出され、生物多様性保全・生計向上・地域との協働を同時に実現する保全型ビジネスモデルを構築しています。

    ゾウによる農作物被害や人身被害、さらには地域住民による報復的なゾウの捕殺が繰り返される現場で、「どうすれば人と野生動物が互いに傷つけず共生できるのか」を問い続けてきました。そこでたどり着いたのが、自然の力を活かすアプローチです。

    収益となるハチミツが地域にもたらされることで、住民自身が保全の主体となる循環を作り出しています。この取り組みの背景には、「生物多様性と人間活動は本当に両立できるのか?」「人と自然が衝突しない社会はつくれるのか?」という問いがあります。大学時代に野生動物管理を学び、国内外での保全プロジェクトやフィールド実践、起業を経て、科学的知見を社会に実装する道を選びました。

    サバンナの現場で日々向き合っているのは、生態と暮らしがぶつかる野生のリアル。そこに希望の光をつくることが、私たちの役割だと考えています。

    ネイチャープレナー

    赤石旺之

    株式会社Wildlife Ventures 代表取締役

    株式会社Wildlife Ventures 代表取締役

    1998年東京都生まれ。鳥獣管理士2級。東京農工大学農学部で野生動物管理学を専攻し、野生動物の保全管理に関わるフィールド実習を重ねる。学部時代から国内外の保全現場に足を運び、多様な実践経験を積む中で、生態系保全と人間活動の関係性に課題意識を抱く。より包括的な視点での研究を目指し、東京都立大学大学院都市環境科学研究科に進学。大学院では野生動物マネジメントにおける社会科学的アプローチを研究テーマとし、人と野生動物の軋轢に関する査読付き論文を複数執筆。修士修了後、株式会社ボーダレス・ジャパンに入社し事業開発職を経て、2024年に株式会社Wildlife Venturesを創業。