米作りと生き物の共生を目指すービオ田んぼプロジェクト

太刀川晴之
株式会社エーゼログループ たねラボ・事業開発担当

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  • 私たちは岡山県西粟倉村で「ビオ田んぼプロジェクト」に取り組んでいます。「ビオ田んぼ」では、田んぼの一部を掘って水をためるビオトープ(水辺の生き物が暮らせる池や水路)を作り、生き物も安定して生息できる米作りを行っています。

    通常の稲作では、水の管理が原因でメダカなどの生物が住みにくくなりますが、ビオトープを作ることで水が溜まる場所が確保され、生き物の生息環境を守れるようになります。

    私自身、大学時代の経験から田んぼの生き物の豊かさを知っていたので、米作りだけでなく、生き物を増やしたり、子どもたちが生き物と触れ合える環境を作ることで、田んぼの新たな価値を創造したいという思いで始めました。

    2023年から始めたこの取り組みによって、メダカやドジョウが大幅に増え、絶滅危惧種のタガメも田んぼで繁殖をするようになりました。環境さえ整えれば、生き物はしっかり増えることを実感しています。

    とはいえ、私たちは無農薬の田んぼで生き物を増やすことだけを目的にしているわけではありません。目指しているのは、生き物が豊かに生息できる米作りの手法を地域全体に広げることです。

    米作りが赤字になりやすいという話もある中、昔ながらのやり方には限界があると感じています。私たちはお米に生物多様性保全の価値を付けて販売するモデルをつくり、共感してくれる農家さんとともに、この取り組みを広げていきたいと考えています。

    <Driveメディアで紹介されました>
    生物多様性と人の生活を両立させていきたい。西粟倉村で「ビオ田んぼプロジェクト」に取り組む太刀川晴之さん

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    太刀川晴之

    株式会社エーゼログループ たねラボ・事業開発担当

    株式会社エーゼログループ たねラボ・事業開発担当

    よりよい人と自然の関わり方に関心を持ち、岩手大学農学部で野生動物管理や地域づくり等について学び、獣害に対する地域住民の被害認識をテーマに研究。サークルはツキノワグマ研究会に所属し、週末や長期休暇は野生動物調査に参加。岩手大学大学院総合科学研究科修了(修士・農学)。大学院卒業後、環境省自然環境局入省。主に国立公園事業の許認可や外来種対策、地域観光ビジョンの策定等に従事。働く中で特に現場での仕事にやりがいを感じ、長期的に地域に関わりたいという思いが強くなり、環境省を退職し、鳥取県智頭町に移住。自伐型林業を学んだのち、岡山県西粟倉村の(株)エーゼログループに入社。事業活動が進むほど自然環境の保全や地域資源の維持が進む仕組みづくりを目指し、主に生物多様性保全に配慮した米づくりや未利用資源を活用した堆肥づくり、山林活用等を担当している。